植毛手術の流れ

植毛の施術は大きく分けると人工毛と自毛の2種類で行われます。

ただ、人工毛の植毛は頭皮に非常に有害なダメージを与えることから、近年ではほとんど行われなくなっています。

日本皮膚科学会が人工毛はやめるようにとの警告を出しているほど注意が必要な方法です。

男性型脱毛症・女性型脱毛症ともに人工毛植毛術を行うべきでない

出典:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

一方、本物の髪を移植する自毛植毛は拒絶反応が出ることはなく、男性型脱毛症の治療にとても効果的なので公式に勧められています。

推奨文:男性型脱毛症には自毛植毛術を行うよう勧める.女性型脱毛症には自毛植毛術を行ってもよい.

出典:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

ですので、同じ「植毛」でも人工毛と自毛とでは全く異なることをまずは覚えておいていただければと思います。

これから植毛にまつわるトピックを具体的に扱っていきますが、言うまでもなく、植毛のことならまずは専門病院へ伺うのが一番ですよね。

それでまずは国内を代表する植毛病院のリストを以下に掲載しておきますので、是非ご参考ください。

院名(※ 縦にスクロール可 HP アクセス
ヨコ美クリニック 公式サイト GoogleMap
アイランドタワークリニック 公式サイト GoogleMap
アスク井上クリニック 公式サイト GoogleMap
親和クリニック 公式サイト GoogleMap
紀尾井町クリニック 公式サイト GoogleMap
湘南AGAクリニック 公式サイト GoogleMap
東京メモリアルクリニック 公式サイト GoogleMap
TOMクリニック 公式サイト GoogleMap
TLCクリニック 公式サイト GoogleMap
アーツ銀座クリニック 公式サイト GoogleMap
自由が丘クリニック 公式サイト GoogleMap
ニドークリニック 公式サイト GoogleMap
HSクリニック 公式サイト GoogleMap
AGAスキンクリニック 公式サイト GoogleMap
FUERS植毛センター
公式サイト GoogleMap
ルーチェクリニック
公式サイト GoogleMap

いかがですか?

こんなにも専門病院がありますから、薄毛を治療する手段として植毛がとても人気なんだということが伝わってきますよね。

ただ、同時に一体どこで植毛をしたら良いのか非常に困ってしまうんじゃないでしょうか(*^^*)

一番良い方法は複数のクリニックでカウンセリングを経験しながら最も納得のいく病院を見つけることです。

植毛手術はリスト内の病院ならどこでも受けられますが、外科医療ですので植毛の方法や担当医の技術力、ひいては看護師さんのチームワークに応じて仕上がりが変わります。

生え際や毛流のデザイン、自然さ、密度の濃さに至るまで…どの病院を利用するかで違いが生まれ、手術時の痛み具合いや費用面まで全く変わってくるんですね。

これら全てをよく考えてみるとき、植毛をする上でクリニック選びがどれだけ重要になってくるのかがわかるんじゃないでしょうか。

ただ、それよりも前に、

  • そもそも植毛が本当に薄毛治療で効果があるのか
  • 本当に信頼できる方法なのか

を知る必要もあります。

…自毛植毛は何と言っても「見た目の満足度」が大切ですから、植毛の症例写真を通してまずは現実的な出来栄えをチェックしてみてください。

植毛を体験した男女の症例画像

薄毛には幾つかのパターンがあります。

ここでは薄毛患者が一番なりやすい生え際のM字・前頭部・頭頂部・つむじ・もみあげ・眉毛・ひげの順に見ていきましょう。

生え際・M字ハゲの植毛症例

ヨコ美クリニック生え際M字ハゲの植毛症例

【症例情報】
治療内容:ヨコ美クリニックのFUT植毛。
副作用(リスク):一時的な痛み、赤み、熱感、抜け毛、くせ毛、つっぱり感、感覚の鈍さ、膨隆、腫脹、瘢痕等の可能性が伴う。
施術の費用:500株34万円~2500株以上120万円(税抜)
※ 治療効果は人それぞれで異なります。あなた自身の植毛結果が他の症例と同じになることはありませんのでご注意ください。

前頭部の植毛症例

メガセッションで前頭部を改善させたヨコ美クリニックの症例

【症例情報】
治療内容:ヨコ美クリニックのFUT植毛。
副作用(リスク):一時的な痛み、赤み、熱感、抜け毛、くせ毛、つっぱり感、感覚の鈍さ、膨隆、腫脹、瘢痕等の可能性が伴う。
施術の費用:500株34万円~2500株以上120万円(税抜)
※ 治療効果は人それぞれで異なります。あなた自身の植毛結果が他の症例と同じになることはありませんのでご注意ください。

頭頂部・つむじの植毛症例

ヨコ美クリニックによる頭頂部の植毛症例

【症例情報】
治療内容:ヨコ美クリニックのFUT植毛で4405本(2108株)を頭頂部に移植。
副作用(リスク):一時的な痛み、赤み、熱感、抜け毛、くせ毛、つっぱり感、感覚の鈍さ、膨隆、腫脹、瘢痕等の可能性が伴う。
施術の費用:500株34万円~2500株以上120万円(税抜)
※ 治療効果は人それぞれで異なります。あなた自身の植毛結果が他の症例と同じになることはありませんのでご注意ください。

もみあげの植毛症例

ヨコ美クリニックによるもみあげ修正症例

【症例情報】
治療内容:ヨコ美クリニックのFUT植毛。
副作用(リスク):一時的な痛み、赤み、熱感、抜け毛、くせ毛、つっぱり感、感覚の鈍さ、膨隆、腫脹、瘢痕等の可能性が伴う。
施術の費用:500株34万円~2500株以上120万円(税抜)
※ 治療効果は人それぞれで異なります。あなた自身の植毛結果が他の症例と同じになることはありませんのでご注意ください。

眉毛植毛の症例

ヨコ美で眉毛植毛を行った症例

【症例情報】
治療内容:ヨコ美クリニックのFUT植毛で眉毛に片側170本づつ移植。
副作用(リスク):一時的な痛み、赤み、熱感、抜け毛、くせ毛、つっぱり感、感覚の鈍さ、膨隆、腫脹、瘢痕等の可能性が伴う。
施術の費用:500株34万円~2500株以上120万円(税抜)
※ 治療効果は人それぞれで異なります。あなた自身の植毛結果が他の症例と同じになることはありませんのでご注意ください。

ひげ植毛の症例

ヨコ美クリニックによるひげの自毛植毛術前・術後症例

【症例情報】
治療内容:ヨコ美クリニックのFUE植毛で口周りから顎にかけて毛包を移植。
副作用(リスク):一時的な痛み、赤み、熱感、抜け毛、くせ毛、つっぱり感、感覚の鈍さ、膨隆、腫脹、瘢痕等の可能性が伴う。
施術の費用:1株800円〜、例)400株32万円~1100株88万円(税抜)
※ 治療効果は人それぞれで異なります。あなた自身の植毛結果が他の症例と同じになることはありませんのでご注意ください。

いかがでしょうか?

どの薄毛症状に対しても植毛の効果が見て取れたと思います。

もちろん結果が良ければ満足とはいえ、それまでに至る過程も同じくらい大切です。中でも…

  • 自毛植毛の施術は具体的にどのような手順で行われるのか?
  • 痛みはどれくらい感じるのか?
  • どんなデメリットや副作用が起こり得るのか?
  • 植毛をした髪は途中で抜けるのか?
  • 植毛と増毛の違いは?
  • 自毛植毛と人工毛植毛はどちらが実用的?
  • 女性の植毛と注意点は?
  • 植毛で失敗せずに後悔しない秘訣は?
  • 本当にオススメできるクリニックは?

以上の疑問についてサクッと全部の答えを知れたら便利だと思いませんか?

人工毛植毛1回、自毛植毛歴3回と約20年の経歴を持つ筆者が以上の問題を一つ一つ詳しく解説していきますので、よろしければ最後までお付き合いください。

自毛植毛とは?

自毛植毛とは?

冒頭で植毛は人工毛と自毛の2種類あることをお伝えしましたが、実は自毛植毛の中にも術式は2種類存在します。

最初に発明されたのがFUTという方法で、今行われている自毛植毛のベースとなるものです。

FUTとは「Follicular Unit Transplantation」の頭文字を取った呼び名で、髪を毛包(Follicular)単位(Unit)で移植( Transplantation)するという意味があります。

最初のフォリキュラーという単語はあまり馴染みがないかもしれませんが、簡単にいうと毛穴のことです。

毛穴の中には「毛包」という人体で最小の臓器が埋め込まれていて、1〜3本の太いヘアと1,2本の産毛、起立筋、皮脂腺、バルジなどで構成されます。

毛包

人間の頭髪は元来、このような仕組みで生えていることから、自毛植毛でナチュラルさを極めたい場合、薄毛のエリアにこの毛包単位で移植すれば「自然さ」を達成できるわけです。

一つの毛穴から1〜3本生えている

移植に使用する植毛ドナーは後頭部と側頭部エリアから調達するのが原則です。

なぜなら、生涯にわたってAGA(男性型脱毛症)になりにくい安全なヘアの宝庫だからです。

移植毛ドナーの採取場所

男性の髪が後退していく主な理由はAGAで、これは活性型の男性ホルモンDHTの影響を受けてしまうのが原因で発症します。

しかし、側頭部と後頭部の下方にある毛髪だけは男性ホルモンDHTの影響を受けない性質があるため生涯にわたり生え続けるんですね。

後頭部では左右の耳介上縁を結んだ線より下部の6〜8cm、側頭部では耳介上部6〜8cmが将来にわたってAGAによる脱毛の危険性のない範囲である。

安全なドナーエリア

出典:【毛髪】ガイドライン2017を踏まえた治療UPDATE (編著 武田啓) 克誠堂出版 P56

あなたの周りで髪の毛が寂しい人をちょっと思い浮かべてみていただけますか。きっとその人にも当該エリアだけはしっかり髪が残っていることに気づかれるんじゃないでしょうか?
波平さんも後頭部には髪がある

波平さんの後頭部・側頭部もフサフサ

この部分の髪の毛を上手に毛包(毛穴)ごと採取して、気になる所に植え替えると、その新しい場所でも生涯にわたって生え続けます。

移植した髪はもともと後頭部や側頭部にあった男性ホルモンの悪影響を受けないように遺伝子レベルでプログラミングされているため、育毛剤や薬を使わなくてもずっと生え続けるわけです。

この髪が持つ支配的原則を俗にドナードミナントと言います。

植毛は「ドナードミナント」すなわちずっと生えつづける後頭部や側頭部のヘアを薄くなった場所に移植してもそのヘアはもともとの性質を持ち続けるという事実をもとに行なわれています。したがって本当にずっと生えつづけるのか?という質問の答えは「イエス」です。

出典:ヨコ美クリニック

でも、「そうすると移植毛ドナーを採取した箇所はハゲにならないの?」という疑問が湧いてくるわけですが、ちゃんとした計画のもとに行えばこのハードルも首尾よく解決することができます。

FUTの場合、植毛用のドナーは頭皮を切開して採取した後、医療用の糸で縫合して抜糸を終えれば最終的に約3ミリ以下の無毛線が残りますが、手でかきあげないかぎり誰にもわかりません。

自毛植毛後に残る傷はバレない後頭部の傷はバレない

頭皮ごと採取した移植毛ドナーは、毛包単位で株分けします。

株分けイラスト

株分けが終わったら、最後に新しく作成した毛穴の中に1株1株植え付けを行い完了です。

株を植え込んでいる

日帰り手術で入院はありません。

施術後から数週間で移植した髪はいったん休止期に入り、2,3ヶ月後に再び発毛し始めて成長期に突入した後、半年〜1年かけて生え揃うようになります。

これがFUT植毛の大まかな流れです。

では更にリアルに植毛を体験するために実際の植毛施術から生え揃う前での経過を詳しく見ていきましょう。

FUT植毛手術の実際

ここではFUT植毛で国内最多の実績を誇るヨコ美クリニックの施術をモデリングしてご紹介します。

まず施術に入る前には血液検査を済ませておく必要があります。

これには2つ目的があり、一つはコンディションチェック、もう一つは感染症の有無チェックです。

結果がどうであれ植毛が受けられなくなることはありませんが、患者さんとスタッフの両方の安全を確保する準備のために行います。

ちなみに血液検査自体は植毛クリニックでもできますが、別途費用も約1万円かかるため他の病院で行った結果を送る形式でも構いません。

植毛手術前には血液検査を受ける必要がある (1)植毛前には血液検査を受けておく

植毛手術当日前の注意事項は以下の通りです。

植毛手術前の注意点
  • 予約時間を厳守し、もし遅れそうな場合は必ず連絡をしてください。
  • 食事は手術の2時間前、水分は1時間前まではとってもかまいません。
  • 服装は前開きで脱ぎ着のしやすいシャツなどゆったりしたものを着用し、頭部にひっかかるようなピッタリした服装は避けてください。また、大きめの帽子かバンダナをご用意ください。
  • コンタクトレンズや、外せる入れ歯を着用している方、また常用薬のある方は事前に医師に申し出てください。
  • メイク、マニキュア(ジェルネイル)は必ず落としていただくようお願いします。
  • 車、バイクでお越しにならないでください。

当日、病院につくとまずは看護師さんに案内してもらい待合室に入ります。

そこで着替えが終わった後、抗生物質を服用して担当医と対面します。

先生と一緒に生え際のデザインなど具体的な植毛プランを一緒にチェックした後、いよいよ施術スタートです。

ヨコ美クリニックの植毛をする手術室手術室のイメージ

専用の椅子に腰掛けたら、まずは鎮静剤の入った静脈注射を手の甲や腕から打ちます。

このときはチクリとした感触がありますが、すぐに気持ちの緊張がほぐれてきて数分で傾眠状態に入り、そうこうしているうちに眠りに落ちてしまいます。

 静脈内鎮静法は全身麻酔とは違い、眠っているような状態でも意識がなくなることはありません。常に自分で呼吸をしていますし、呼びかけられたらいつでも反応できる状態だからです。基本的には傾眠状態が続くので、患者は植毛をはじめとする外科手術を受けているときでも心配したり怖がるような精神状態にならなくて済むメリットがあります。

医師はこの段階までを見届けてからドナー採取部に麻酔を打ちますが、患者は傾眠状態なので何も痛みも感じません。

移植毛ドナーの採取 ※ 閲覧注意

最初の施術ステップは移植ドナーの採取です。

まず予め計算しておいた移植毛の本数に応じて必要面積分の頭皮エリアをデザインして刈り込みます。

ドナー採取のデザイン
ドナー採取部はデザイン後に刈り込む

刈り込みが終わったら、拡大鏡を使ってのオープンテクニックで毛根切断を最小限にとどめながら頭皮を切り取りドナーを調達していきます。

オープンテクニックによる採取ドナー頭皮の切開
オープンテクニックで頭皮を切除

頭皮を切り取ったらトリコフィティックと呼ばれる縫合法で上下の頭皮を縫合します。

下縁となる表皮を1〜2ミリ程度削って、その箇所に上縁となる表皮を被せて縫い合わせることで縫合周辺にも毛が生えるように工夫する匠のテクニックです。

トリコフィティック縫合法で切開線の下部の表皮を1mm程度切除している様子
表皮を1ミリ程度カットしている様子

結果、後頭部の線傷が目立たなくなるメリットを見込め、大体が3ミリ以下の幅で収まります。(※ 仕上がりは体質などで個人差が出ます。)

ドナー採取部を縫合した様子
縫合仕立て

術後に残る後頭部の傷抜糸後は3mm以下の傷が残る

ちなみに、移植毛ドナーを採取する行程は麻酔が効いていますので何の痛みもありませんし傾眠状態ですので、患者は全く気づかない間に作業が終了しています。

株分けとトリミング

採取した頭皮ドナーはマンティス顕微鏡にバックライトを当て目視で見ながら注意深く毛包単位に株分けをしていきます。

マンティスの顕微鏡下で覆株に株分けする株分け作業

1本毛の株、2本毛の株、3本毛の株に整理後、サイズ別に色分けしたシートに包み4℃の組織培養液中に保存しておきます。

株分け後は4°の組織培養液に浸しておく

株分けにかかる時間は3000本で約1.5時間、6,000本分で約3時間くらいかかりますが、患者はこの間何もすることはありませんので別の部屋で寝たり、音楽を効いたり、本を読んだりしながら安静な状態で自由に過ごします。

スリットの作成

スリットとは切れ目や隙間を表す言葉ですが、植毛においては新しい毛穴づくりを指します。

1本毛の株には0.8mm径、2本毛の株には1.0mm径を使って拡大鏡で見ながら精確に作業を行っていきます。

頭皮下のスリットの深さは株の深さに応じて4〜6mmに調節し、刺入角度は毛流に沿いながら生え際で45°、後頭部は60°、側頭部は15°に設定します。

自毛植毛のスリット作成

この行程においても患者は一切の痛みを感じずに傾眠状態のまま過ごすだけです。

植え付け

最後に、植毛用のJeweler鑷子(ピンセット)を使い株を1つずつ挿入していきます。

移植株を植え付けている様子
植え付け

生え際の最前列には1本毛、奥にしたがい2本毛、3本毛という具合にグラデーションをつけながら植えることで自然な仕上がりになるように心がけます。

50覆株の高密度で植え付けた症例
1cm² 中50株高密度移植した生え際

前半はpre-made法(スリット作業を全部終えてから一斉に植え付ける方法)で行い、後半はstick-and-place(一つ一つ穴あけ作業と植え込み作業を同時に行う)方法で仕上げます。

このようにすることで移植株を一本も無駄にせず、スリットの数も無駄にならないように心がけます。

FUT術後の処置と当日の注意点

植毛手術が終わると、採毛部には包帯をしてヘッドバンドを着用します。

術後当日はドナー採取箇所にはヘッドバンドをする

病院から帰宅へ向かう時にはニット帽などでカモフラージュも可能です。

ヘッドバンドの上にはニット帽などでカモフラージュ可能

術後は、当日中に心がけるべき以下の指示が行われて終了です。

術後当日中の注意点
  • 車やバイクを運転しない。
  • キツく感じてもヘッドバンドは外さない。
  • 激しい運動やアルコールは控える。
  • 洗髪はNGで安静にしておく。
  • 痛み止め・抗生物質・睡眠薬などを必要に応じて服用する。

いかがだったでしょうか?

多少大掛かりな手術のように感じられる部分もあったかもしれませんが、患者側は基本的に傾眠状態のまま椅子に座っているだけなので、終わってみると「歯医者の治療のほうがよっぽど大変だった」と感じる人がほとんどです。

ここまでが、FUT植毛手術当日にわたる一通りの流れですが、どんなに本数が多くても3〜6時間程度で日帰りのみ、入院はありません。

次からはもう一つの術式であるFUEの手術についても見ていきましょう。

※ 手術後から生えるまでの発毛経過の詳細はFUEの解説を終えてから紹介します。

FUEの方法と概要

FUEとは「Follicular Unit Extraction」の頭文字を取った名称で、毛包(Follicular)単位(Unit)で採取(Extraction)するという意味です。

つまり、FUTとFUEの違いは、「E」の部分の移植株を「採取」する方法にあります。

前述したFUTの場合、まず頭皮ドナーを切り取ってから株分けをして植え付ける順序でしたが、FUEでは専用パンチを使用して直接頭皮にある毛包を1株1株摘出していくのが特徴です。

FUTとFUEの流れFUT・FUEではドナー採取の方法が違う

パンチでスムーズに採取するため、手術前に予めドナー本数に応じて後頭部を刈り込んでおく必要があります。

FUE植毛の後頭部を刈り上げるパターン採取量に応じて刈り込む

その後、FUTの時と同じように麻酔を打ち、痛みがない状態になってから、移植毛の太さに合わせて0.8mm〜1mm前後の専用ドリルを使いくり抜きます。

FUEドリル画像

FUEの場合、術後には株をくり抜いた点状の傷が必ず残りますので、スカスカになり過ぎて傷が目立たないように採取密度を25%以内に抑えるのが原則です。

少量の傷画像

もし2000株を超えるような大量植毛のときにFUEを使うと、かえってFUTで残る線傷よりも目立つ可能性があるため、採取量は慎重にプランを立てることが勧められています。(※ ドナー周辺の密度は個人差があるため最大採取株数も各人で異なります。)

採取した株は植え付けやすくするために余分な組織を切除してトリミングを行います。

株分け・トリミングをすると新しい毛穴にフィットしやすくなる株の体裁を整えておく

次にFUTと同じ流れで新しい毛穴を作りますが、パンチによるマイクロホール、ニードル(針)やブレードの器材を使い新しい毛穴となるスリットを作成します。

3種類の毛穴がづくり画像

どの工具でも生着率それ自体に優劣はなく、植毛医の得意とする器具でスリットを開けることになりますが、とりわけ高密度移植にはホールよりも細い針やブレードのほうが有利です。

1c㎡あたりに1ミリ径のホールと1ミリ径のスリットでは後者のほうが多く毛穴が入る針やブレードで高密度移植が可能となる

最後に1株1株の植え付けを行い終了です。

株を植え込んでいる

以上がFUEの大まかな流れですが、こちらも更にリアルなFUEを体験するために実際の手術過程を見ておきましょう。

FUE植毛手術の実際

移植毛ドナーの採取

まず移植毛を採取する後頭部を1〜4mm程度に剃髪します。(※ 植毛する部位が眉毛や頭髪などで剃毛の長さは変わる。)

FUE植毛で後頭部を刈り上げた状況

剃った頭皮エリアには3〜5cm×3〜5cm毎に区画ラインを引いて、各々から50〜100株の目安で移植ドナー採取を行えるようにしておきます。(※ 過剰に採取をし過ぎて傷が目立つことを避けるためです。)

下準備が整ったら1本毛の株には0.8mm径、2,3本毛の株には0.9〜1mm径の専用パンチを使って直接くり抜きますが、この時は頭皮下にある毛の角度に注意しながら挿入させて毛根切断が起きないように心がけます。

FUEは直接移植する株をくり抜く方法頭皮下の毛流を読み挿入

くり抜いた株を鑷子(ピンセット)で引き抜きます。

鑷子で移植株を引き抜いている二つの鑷子で愛護的に引き抜く

採取し終えたら組織培養液中に株を保存しておきます。

FUEで採取した株を保存する

株分け・トリミング

FUEではパンチでくり抜いた段階でFU単位になっていますので、FU株にするための株分けは必要ありません。

しかし、2本毛や3本毛の移植ドナーをデザインの必要に応じて1本毛にバラしたり、前述したように余計な組織を削って植え付けやすい形状にするためのトリミングを行います。

株分け・トリミングをすると新しい毛穴にフィットしやすくなる極小スリットにフィットしやすい株にするため…

移植株のトリミング作業移植株をトリミングして体裁を整える

これら全ては顕微鏡下で細心の注意を払いながら行われます。

スリットの作成

ニードルによるスリット作成では、一本毛で0.8mm径、2〜3本毛では1.0mm径を使い、拡大鏡を通して精確に行っていきます。

今川先生が拡大鏡を使いながら植毛手術をしている拡大鏡を使いながら

ニードルでスリットを開けているニードルで毛穴を作成する

植え付け

FUTと同じように生え際の最前列から1本毛、ついで2本毛、さらに3本毛と段階的に植え付けていき、自然な生え方になるように心がけます。

移植株を植え付けている様子

ちなみに、植え付け作業の方法には

  • 空気圧を利用したインプラント
  • 鑷子(ピンセット)を使った手業
  • 単一植毛針に株を装着して株を挿入する方法

などがありますが、正確に作業が行われるかぎり移植毛の生着率に優劣の差はありません。

FUE術後の処置と当日の注意点

FUTの場合と同じように、ドナーを採取した箇所にヘッドバンドを着用してドレッシング(被覆)をします。

術後当日はドナー採取箇所にはヘッドバンドをする

ドレッシングをする理由
  • 創(傷口)を外力や感染から守る
  • 過剰な滲出液(しんしゅつえき)を吸収する
  • 美的、心理的観点としての処置

注意する点もFUTと同様です。

術後当日中の注意点
  • 車やバイクを運転しない。
  • キツく感じてもヘッドバンドは外さない。
  • 激しい運動やアルコールは控える。
  • 洗髪はNGで安静にしておく。
  • 痛み止め・抗生物質・睡眠薬などを必要に応じて服用する。

それでは次に植毛手術を終えてから生え揃うまでの過程を見ていきましょう。

手術翌日

術後翌日は採取部につけていたヘッドバンドを外して経過を見てもらいながら軽めの洗髪と消毒をしてもらいます。

術後の翌日はヘッドバンドやガーゼは外す

可能なら病院にてプロの手でしてもらったほうが安全ですが、スケージュール的に無理な場合は自身でも構いません。

その場合は予め病院が持たせてくれる消毒液を含ませた綿球等で処置を済ませます。

消毒液を含ませた綿球で消毒する

術後1日目の生え際と後頭部は以下のような状況です。

ヨコ美クリニックのFUT術後1日目の生え際の状態FUT術後1日目の生え際症例

症例情報記載

ヨコ美クリニックFUT術後1日目の後頭部の傷痕FUT術後1日目の後頭部症例

FUTの場合は画像のようにかき上げると移植部や後頭部の傷はわかりますが、既存毛を下ろせる状況ならほとんど目立ちません。

一方、FUEの場合は採取本数や髪型にもよりますが、2000株以上などの大量植毛で広範囲に刈り上げている場合、後頭部の点状瘢痕がむき出しになります。

2000グラフト採取した直後の後頭部

FUT術後の後頭部症例

既存毛の長さやコンディションによっては画像のように隠しきれないため、

FUE施術直後の後頭部の傷は既存毛だけでは隠せない可能性

希望すればこの時に別途3〜5万円前後でヘアシートを取り付けてもらえます。

ヘアシートを取り付けているヘアシートを付けられる

ヘアシートを取り付けた後頭部ヘアシートを取り付けた状態

髪に直接結びつけるタイプと張るタイプがありますが、その辺はクリニックと相談して決めます。

術後翌日に消毒を済ませた以降は採取部の後頭部や移植した箇所のどちらもできるだけオープンにして乾燥させるようにします。

洗髪は2日目(48時間後)からOKですが、植えた株の部分はまだ定着が完了していない可能性があるため、刺激の少ない洗髪剤を少量の温水で薄め、スポンジを使っての押し洗い程度に済ませます。

この時は移植株の脱落を防ぐために絶対こすったり強い刺激を与えてはいけません。

移植毛が定着するまでの数日間はこうしてできるだけ刺激を少なくしながら頭皮を清潔に保つのが原則となります。

ですので、洗髪剤を流すときも水圧を弱めにして、ドライヤーは冷風にして余計な刺激を避けます。

ただ、ドナーを採取したエリアや移植していない既存毛は通常通り洗髪しても問題ありません。

確率は非常に低いですが、外科手術に伴う影響で術後早期に現れるかもしれない副作用やリスクは以下の通りです。

術後早期に起こり得るリスクや副作用
  • むくみ → 頭部に残留している麻酔液などの影響でまぶたが腫れる可能性
  • 後頭部の痛み → 移植毛の採取箇所や移植部に痛みを覚える可能性
  • 出血 → 移植毛の採取箇所や移植部から血が滲み出る可能性
  • 感染症 → 0.1%の確率だが重症の糖尿病や免疫不全、毛包炎などで引き起こされる可能性
  • 神経痛 → 後頭神経などの知覚神経の損傷で痛みが出る可能性
  • 知覚純麻(ちかくどんま)→ 浅層の知覚神経の末梢枝が切断されるために一時的な知覚鈍麻が起きる可能性
  • 瘙痒(そうよう)症→ 採取部および移植部の痒みや違和感
  • 休止期脱毛 → 一時的な脱毛
  • etc

    こうした副作用が現れないようにするための予防策や起きたときの対策は以下の通りです。

    タイトルが入ります。

    テキストが入ります。

    ここにコンテンツを記載

    またむくみ防止のため2~3日間は、

    ①枕を高くして寝る

    ②長湯しない(暖かいお湯に浸からない?)

    ヨコ美の案内:

    アイスパックで額からこめかみにかけて冷やすとか、

    薬を服用する(処方されます)

    むくみ対策
    ・市販のアイスバックをガーゼで包み、軽く額からこめかみにかけて押し当てる
    ・寝るときは枕を3個くらい重ねて頭を上げて寝る
    ・病院からもらったハレ防止薬を飲む
    ・寝るときにヘッドバンドをつける

    バスタオルにも血が付くことも

    なので、事前に黒いバスタオルを買っておくのも良いかも。

    2日経過以降にすること

    ・術後48時間経過後、シャンプー可
    ・シャンプーは移植部はシャワーで軽く流すだけか、スポンジで押すだけ
    ・シャンプーは刺激の弱いもの
    ・シャンプーはお湯で薄めてから使用
    ・シャワーで流すときは弱い水圧で
    ・ドナー部は強めにあらって大丈夫
    ・ドライヤーは移植部は冷風
    ・タオルは細心の注意を払って水けを取る

    5〜10日目

    抜糸

    10〜14日目

    移植毛にまとわりついたカサブタ(痂皮)が脱落します。

    1ヶ月〜2ヶ月

    移植した髪が休止期に入りいったん脱落する。

    3ヶ月〜6ヶ月

    再び発毛する

    10ヶ月以降

    結果の評価

    FUT VS FUE

    ふさわしい採取本数と密度の範囲内でFUEで行うなら、後頭部にできる傷はFUTのときよりも目立たず、ダウンタイム(回復期間)も短くて済みます。

    FUT FUE
    瘢痕の形状 線状 点状
    瘢痕を隠せる毛髪の長さ 1.5cm以上 FUTよりも短くても可
    術後のダウンタイム FUEよりも長い FUTよりも短い
    必要なスタッフ人数 FUEよりも多い FUTよりも少ない
    株の生着率 FUEよりも安定 FUTよりも劣る
    初回の最大採取株数 将来脱毛しない安全な範囲内から2500〜3500株 将来脱毛しない安全な範囲を逸脱したとしても2000〜2500株
    複数回での総採取株数 将来脱毛しない安全な範囲内から5000〜7000株 将来脱毛しない安全な範囲を逸脱したとしても4000〜4500株

    ※ 個人差あり

    4対6でFUEが6割と人気が出てきている。

    でもFUTのほうが良いことをまとめて終了。